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エンジニアリング組織論への招待-思考のリファクタリング方法

思考のリファクタリングとは

ソフトウェア開発の現場に起こる、多くの理不尽や感情の対立(=思考のバグ)が発生しています。そのような状況を改善するために、考え方を少しだけ変えていく必要がある。

そのような状況下で、頭の中で発生してしまう無駄なプロセスを削除して、考えるときの指針をもつことで、問題解決に向かって、明確に行動ができる。

つまり、答えのない不確実性の伴う問題に対して、考え方を整理して、問題に向き合うことが、思考のリファクタリングである。

不確実性とエンジニアリング

エンジニアリングの意味

エンジニアリングとは「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為

不確実性コーン
不確実性に対応する良い組織

マイクロマネジメント組織

具体的で細かい指示をしないと動けない組織では、指示をする側の知的能力がそのまま組織の知的な能力になります。その組織のメンバーは小さな「不確実性」の削減しかすることができない状態といえます。これでは、指示をする人が病気になってしまったら途端にアウトプットが下がってしまいます。あるいはもっと多くの人員を抱えたとしても、組織全体の能力が頭打ちになって、スケールしません。

自己組織化された組織

一方で、抽象的で自由度のある指示でも動ける組織であれば、少ない指示で物事を実現できるので、より大きな「不確実性」の削減を行うことができます。また、組織が拡大してもその拡大に応じてパワーを発揮できる、スケールする組織だといえるでしょう。

→自己組織化された組織を目指そう

不確実性の発生源
  • 未来
    • 対策:行動と観察
  • 他人
    • 対策:コミュニケーション

不確実性に向き合うのは不安を発生させる

ただ、不確実性に向き合うという不安の山を乗り越えない限り、不安が減っていかないという人の性質が、様々な問題を引き起こし、実現を阻害してしまう

不確実性を無くしていくには新たに情報を生み出すことが大事

情報を生み出す考え方
論理的思考の盲点

「人は正しく事実を認知できない」ので、それを踏まえた上で、自分がどのようなときに認知が歪むのかを知り、自分の歪んだ認知を正すための行動を促すもの

経験主義と仮説思考

「いくら理屈で考えても答えが出ない問題」に時間を浪費してしまう性質が人間にはあるので、それを踏まえた上で、少しでも実験によって知識を獲得し、問題が何であるのかを不確実性の岩の中から削り出していくように考え、そのための行動を促すものです。

  • 経験主義

    わからないを行動に変換し、一歩でも正解にたどり着くための思考の補助線なのです。

  • 仮説思考

    わずかな情報から、大胆に推論を行い、証拠を探すといった行動を行うこと

    仮説思考は、経験主義をさらに生産的な(不確実性を削減する)ものにするための「大胆な跳躍」をもたらします。そして、仮説は、今あるデータからは、演繹的・帰納的には導くことのできないものです。

全体論とシステム思考

「人は、問題を個人の責任にしたり、全体像を見失った局所最適な思考をしてしまう」ので、それが全体像ではないかもしれない、問題は関係性にあるのではないかという視点と問題解決のための目を提供し、行動を促すものでした。

良いプログラマとは

眼が状況を判断し、自分がおかれている前提を正しく把握した設計を生み出し、良いプログラムを作り出します。この問題解決のための眼を養うことが、良いプログラマのための条件になるのではないでしょうか。

三つの眼

  • 視野

    あるポイントからその問題を眺めたときに同時に把握できる領域の広さです。ある問題はある大きな問題に包含されていて、さらに大きな問題構造に含まれているといったことを把握できる、広い/狭いで評価するもの

  • 視座

    どこから眺めるか。高い/低いで評価されるものです。視野がいかに広くても、視座が低ければさらに次元の高い問題を認識できないし、視座が高すぎても抽象論に終始しミクロな解決策が浮かびません。社長が現場感覚を理解しようとしたり、平社員が部長の立場からものを見てみるといったようなことです。

  • 視点

    どの角度から見るか。鋭さ/凡庸さでとらえるものです。問題の構造を把握して、解決策の筋を刺すときに問題の捉え方によってはシンプルになることがあります。普段は見えない角度から本質をえぐり出すのが「視点」の力です。

他人の不確実性

  • 他者理解の不確実性:人は他人や事象を完全には理解できない
  • 伝達の不確実性:コミュニケーションが到達するとは限らない
  • 成果の不確実性:仮に理解されたとしても予想されたように行動するとは限らない

情報の非対称性

同じ目的をもった集団で、何かの情報を片方の人が知っていて、もう片方の人が知らないという状態のこと

お互いの情報伝達が不完全で、それゆえに引き起こされた問題であっても、何か害意や悪意をその中に見出してしまいがちなのが人間の性なので気をつける

限定合理性

ある人にとっての個人的に最適な戦略が、全体にとって最適になるとは限りません。このような性質を限定合理性といいます。

参考文献